「脂肪がどんどん蓄積されて太ってしまう」
「痩せることは難しい」
とわたしたちは思いがちですが、脂肪細胞では、脂肪の合成だけではなく、分解も絶えず行われていることから、たくわえられた脂肪は、ずっとそのままの状態でとどまっているわけではなく、脂肪の分解が活発になると、からだの中に貯蔵される脂肪の量は減っていきます。
この合成と分解のバランスで体内の貯蔵脂肪の量が決まるため、合成が分解よりも活発になれば脂肪の量は増え、分解が合成よりも活発になれば、脂肪の量は減少します。
そのため、肥満を防止するためには、分解が合成よりも活発になる状態をつくることが大切なのですが、食事の内容をコントロールしたり、運動をすることでその状態をつくることができます。
そこで、まず、健康的にやせるために理解しておきたい脂肪分解の仕組みと、
効果的な運動について調べてみました。
脂肪分解の仕組みは?酵素リパーゼが鍵?
脂肪細胞の細胞質の中には、「核」「ミトコンドリア」「小胞体」「油滴」などが含まれているのですが、ほかの細胞と違い、細胞質の大部分が「油滴」によって占められていて、脂肪はこの油滴の中にたくわえられています。
そして、その脂肪を分解するためには、「リパーゼ(脂肪分解酵素)」という酵素が必要で、リパーゼは油滴のすぐ近くに存在している「小胞体」にあります。
「な~んだ、それならば、すぐに脂肪を分解できるじゃないか」
と、思われるかもしれませんが、実は、リパーゼと油滴が自由に接触できないように、ご丁寧にも、油滴の表面には、タンパク質と結合したリン脂質の扉がついています。
(人類の歴史は飢餓との戦いだったため、こういう機能が発達したのでしょうか?どんどん痩せていくことは人間にとって生命を脅かすことで、脂肪をためこむことがいかに重要かがわかります)
リン脂質のままではリパーゼは自由に油滴と接触できませんので、何者かに、この扉を開けてもらって、リパーゼに、油滴の中に入り込んでもらわなければなりません。
その何者かが「ノルアドレナリン」「アドレナリン」「副腎皮質ホルモン」などのホルモンなのです。
分解された脂肪はどうなる?
さて、ホルモンのおかげで脂肪細胞の扉が開くと、リパーゼは、ようやく中に入ることができ、脂肪細胞の中にあった脂肪を分解して、脂肪酸を放出します。
すると、この放出された脂肪酸は、血液の流れにのって、筋肉へ運ばれます。
筋肉には、「赤筋線維(せっきんせんい)」と「白筋繊維(はっきんせんい)」の2種類があるのですが、脂肪酸は、主に、赤筋線維に取り込まれると、(赤筋線維は脂肪の蓄積量が多く脂肪燃焼能力が高いため)二酸化炭素と水にまで分解されて、息、尿、汗などから排出されます。
また、この過程で発生するエネルギーが筋肉を動かします。(赤筋のエネルギー源として利用)
こうやって油滴に蓄えられた脂肪がどんどん使われていくと、やっと油滴が小さくなり、ダイエットに成功!・・・と言いたいところですが、せっかく筋肉にまで運ばれてきても、使用されないと(脂肪酸を燃やすことがなければ)肝臓に運ばれ、再び中性脂肪に合成されてしまいます。
さらに、この再合成された脂肪は、血液の流れにのって、なんと、再び脂肪組織へと戻って油滴になってしまうのです!
(ぐるぐる回って再利用されているのですね)
「ゆっくりした全身運動」がおすすめ
そうならないためにも、脂肪分解を促進するためのホルモン、「ノルアドレナリン」「アドレナリン」「副腎皮質ホルモン」を積極的に分泌して、肥満を防いでもらいましょう!
そのためには、中程度の全身運動を行うと良いそうで、(どんな運動でもOK)
運動が刺激となって交感神経の末端からホルモンが分泌されます。
ただ、前述の通り、分解された脂肪(脂肪酸)は筋肉組織の中の赤筋線維に取り込まれて燃やされるため、脂肪を効果的に燃焼させるには、赤筋線維を使う運動が良いそうです。
赤筋繊維には、
- ゆっくりとしか動けず、瞬発的な運動はできない。
- 背骨の周りと手足の深いところにある筋肉に多く存在している。
- 脂肪を分解してエネルギーを出す時に大量の酸素を使う。
などの特徴があるので、
- 酸素を十分に取り入れながら、
- 息苦しさを感じない程度の強さで、
- ゆっくりと全身運動を、
- 30分以上(長い場合は2時間、3時間)
行う運動が、脂肪を効果的に燃やしてくれます。
このような運動を有酸素運動といい、有酸素運動の代表的なものには、
- エアロビクス
- ウォーキング
- ジョギング
- スイミング
- サイクリング
などがあります。
ちなみに、運動中に苦しさを感じたり、肩で息をするようなハードな運動は、
酸素が不足している状態なので、脂肪を十分に燃やすことができず、
ダイエットには向いていません。
ぜひ、自分に合ったエアロビック運動を見つけて、効果的に痩せたいですね♪