「褐色脂肪細胞の場所は肩甲骨?白色脂肪細胞の増える時期は?分化が進む?」からの続き
ダイエットの鍵を握っているのが、エネルギーを中性脂肪として蓄積する白色脂肪細胞なのですが、不運にも、待ってましたとばかりに一気に成熟した「前駆脂肪細胞」に、どのように脂肪が蓄積されていくのでしょうか。
糖質が脂肪として蓄積するメカニズム
私達は、食事から栄養と脂肪をとっているのですが、そのままの形で体内に吸収されて脂肪が蓄積されるのではなく、栄養素に含まれている糖質や脂質からつくられたブドウ糖と脂肪酸が、脂肪細胞に取り込まれて脂肪をつくっています。
そこで、まず、糖質が脂肪として蓄積するメカニズムをご紹介しましょう
- ご飯、お菓子、果物などの糖質を食べると、消化されて、ブドウ糖(グルコース)として血管の中に取り込まれます。(血管の中にあるブドウ糖のことを「血中グルコース」または「血糖」といいます。)
- 血管に取り込まれたブドウ糖は血液中にある「GLUT4(糖輸送担体4)」という物質によって脂肪細胞まで運ばれます。
- ただ、脂肪細胞の膜はブドウ糖が簡単に通過できないようになっているのですが、インスリンが分泌されることによって、通過できるようになり、細胞膜に取り込まれて行きます。
- こうして脂肪細胞に取り込まれたブドウ糖は、そこで「脂肪酸」と「グリセリン」に分解されます。
- そして、この「脂肪酸」と「グリセリン」から脂肪がつくられ、貯蔵されるのです。
ちなみに、②の部分では、肝臓にも「ブドウ糖」が取り込まれ、「ブドウ糖」を材料にして脂肪を作ります。この脂肪は血液の中に放出され、「リポ蛋白キナーゼ」と呼ばれる酵素の働きによって、脂肪酸に分解。分解された脂肪酸は脂肪細胞に取り込まれ、ここで再び脂肪に合成され貯蔵されます。
食物に含まれている脂肪が蓄積するメカニズム
続いて、食物に含まれている脂肪が蓄積するメカニズムについてご紹介します。
- 肉やバターなどを食べると、それらに含まている脂肪は消化されて、
血管の中に取り込まれます。 - 血管に取り込まれた脂肪は「カイロミクロン」と呼ばれる船に乗り、輸送される途中で、「リポ蛋白キナーゼ」と呼ばれる酵素の働きによって脂肪酸に分解されます。
- この脂肪酸が脂肪細胞に取り込まれて、そこで再び脂肪に合成され、貯蔵されるのです。
増加した脂肪はどこに貯蓄されるのか
このように脂肪細胞に変化(分化)した脂肪は、「貯蔵脂肪」として、体中に蓄えられます。
「体脂肪の重要な役割」でも触れましたが、この貯蔵脂肪は、多量のエネルギーを蓄えることができたり、体温の保持に役立ったり(皮膚の下の貯蔵脂肪)、内臓を一定の位置に固定させる役割(お腹のなかにある貯蔵脂肪)をするなど、私たちの体にとって、とても重要な働きをしています。
そして、この貯蔵脂肪は「脂肪組織」と呼ばれる、脂肪をためるためだけの働きをする組織に蓄えられています。
肝臓や血管にも、脂肪をためることができるのですが、脂肪が肝臓の中にたまりすぎると、それが邪魔になって肝臓の重要な働きができなくなるため、肝臓の働きを維持するために、余分な脂肪は血管の中に出されます。
ただ、血管の中にもあまり多くの脂肪をたくわえることができないので、余分な脂肪は血管からも出されます。
この、出された脂肪が脂肪組織に蓄えられるのですが、脂肪組織は、脂肪細胞、繊維、自律神経などからできており、腹、腰、大腿の皮下や内臓のまわりにとくにたくさん存在しているそうなので、私たちの体の中でも特に太りやすいところばかり・・・ということで、納得ですね。