以前、太陽の光が、人間に良い影響を与えていることや、朝日の効果について書きましたが、実は夕日も私たちに多くの良い影響を与えてくれているようです。
夕日の思い出と言えば、私は子どもの頃、沈んでいく太陽を見ていると、心が締め付けられ、物悲しい気持ちになりました。
ところが、とっぷり日が暮れてすっかり夜になってしまうと、さっきまでの悲しい気持ちがまるで嘘だったかのように消え去り、いつもの自分に戻っていたものです。
(それでも、夕焼けの中、友達と夢中で遊んだり、旅行先で家族と海辺を散歩したり・・・そんな温かい記憶も蘇ってきます。)
そして、一番印象的だったのは、フランスの「ラ・ロシェル(La Rochelle)」という古い港町にある海辺で見た夕日で、水平線の向こうに沈んでいく夕日はそれはそれは巨大なオレンジ色で、
まるで絵画のように、海辺に佇む人たちのシルエットが黒く砂浜に伸びていたことを覚えています。あれほど美しい夕日は後にも先にも見たことがありません。
大人になってずいぶん経った今では、美しい夕焼けに癒やされることはあっても、もう、悲しいと感じなくなりましたが、夕日は何も変わっていないのに、一体どういうことでしょうか?
悲しくなったり、切なくなったり、ロマンティックな気持ちになったり、癒やされたり・・・
ということで、今回は、そんな感情に訴えかける夕日について調べてみました!
夕日を見ると悲しくなるのはなぜ?
かつての私のように、夕日を見て悲しくなる人が多くいるようですが、残念ながら今のところ、なぜ、そのような感情になるのか、はっきりした理由はわかっていないようです。
そこで、「なるほど」とうなづける説をご紹介すると・・・
「過去の思い出説」
夕方というと、遊んでいた友達と別れて家に帰る時間だったり、学校から帰る時間だったりと、楽しかった1日が終わろうとしている時間帯であることから、
夕日はそんな1日の終りを象徴するものとして、私達の記憶に残り、なんとなく悲しい気持ちになるのだそうです。
「1日の終りが死を意味する説」
朝が1日の始まりだとするならば、夕方は1日の終りです。それが私達の人生になぞらえて、「終わり」=「死」を連想させ、私達を悲しくさせているのだそうです。
「遺伝子に刻み込まれた記憶説」
遠い遠いむかし、文明が発達しておらず、もちろん電気もない時代、私達の祖先は、いつ猛獣に襲われるかわからない夜の暗闇に対して恐怖を抱いていました。夕日はその時間の始まりの象徴として私達の遺伝子に刻みこまれているのだそうです。
「悲しい出来事と夕日が結びついている説」
親に叱られた、友達とケンカをした、飼っていた犬が死んでしまったなど、幼い頃に悲しい気持ちを抱いて夕日を見たことがある人は、大人になり、その悲しい気持ちになった出来事を忘れてしまっても、
記憶の奥底で悲しい気持ちと夕日が強く結びついているので、夕日をみるたびに過去に経験した悲しい出来事が無意識で蘇ってくるため、悲しい気持ちになるそうです。さらに、夕日は1日の終りということもあり、余計に悲しさが増してしまうのでしょうね。
(これとは逆に、夕日を見て幸せを感じる人は、楽しい記憶と夕日が強く結びついているのかもしれません。)
なるほど!どれも納得できるものばかり。
中でも私個人的には「過去の思い出説」かな、と思いました。友達とバイバイするみたいに、沈んでいく夕日ともバイバイする、最後にみんな去っていき、ひとりぼっちになってしまったらどうしよう・・・と、そんな「お別れ」につながる雰囲気が、悲しく感じられたような気がします。
夕日を見てロマンティックな気持ちになるのはなぜ?
また、夕日を見てロマンティックな気持ちになる人も多いようです。これは、テレビドラマや映画などで、夕日が別れのシーンや、再会のシーン、男女が見つめ合うシーンなど感動的なシーンを盛り上げるために用いられることが多いことから、「夕日=ロマンティックなもの」として、私達の記憶に刻みこまれている(刷り込まれている)のだとか。
裏を返せば、感動的なシーンに使いたくなるほど、夕日は私達に様々な感情を呼び起こすのでしょうね。
それ以外にも、夕日には、私達を癒やしてくれる効果もあるというのです。
それはなぜかというと・・・
オレンジ色の効果
夕日を浴びると、朝日と同じく自律神経を整えるセロトニンという物質が、
分泌されるようですが、
夕日の一番の効果は何より、私達を安心させ、癒してくれることにあるようで、多くの人達が、夕日を見ると、
- 「心が穏やかになる」
- 「癒される」
と、感じているようです。
その理由は、あの「オレンジ色」にあり、オレンジ色という温かみのある色には、私達の緊張をほぐし、やさしい気持ちにさせてくれるほか、食欲を増進させる、陽気な気分になる、開放感を与えてくれる、という心理的な効果があるのだとか。
白っぽい蛍光灯より、やさしいオレンジ色の照明の方が心が落ち着くのと同じですね。
注意点
ただ、夕日を浴びるのには、注意点があるようです。人間は太陽の光を浴びることで、自律神経を整えるセロトニンが分泌されるのですが、1日の最初にセロトニンが分泌されてから、14時間~16時間後に眠くなるという性質があります。
なので、1日の最初に浴びた太陽の光が夕日だった場合、眠たくなる時間が大幅に遅くなってしまうというのです。
つまり、体内時計のリズムが狂ってしまうので、一日中家にいて太陽の光を浴びなかった日は、夕日を浴びないほうが良いのだとか。
(朝7時に朝日を浴びた場合、 夜の9時から11時頃に眠たくなる計算になりますので、体内時計のリズムが整っていると言えますね。)
夕方はとても忙しい時間帯ですので、夕日をゆっくり眺める暇もなく、一日が終わってしまうことも多いのですが、ぜひ、夕日の効果をうまく生活に取り入れ、健康に役立てていきたいですね♪
夕日のベストスポット
それでは最後に、素晴らしい夕日を見ることができる、国内のベストスポットをいくつかご紹介しましょう。
黄金(おうごん)岬 (北海道)
「日本一の落陽」と呼ばれるほどの美しさで、かつて、ニシン漁で栄えた土地だったため、岬はニシンの見張り台でもあったそうで、ニシンの群れが夕日に照らされキラキラと黄金色に輝いていたことから、「黄金岬」と呼ばれるようになったそうです。
七浦(ななうら)海岸 (新潟県)
「七浦海岸」の約10kmにわたる海岸線は、隆起海岸と呼ばれる変化に富んだ海岸で、その中にある3大スポット「長手岬」「夫婦岩」「春日崎」から見る夕日はとても神秘的で美しいそうです。
富津(ふっつ)岬(千葉県富津市)
東京都心から車で約1時間半で行ける距離にこんな場所が!
さらに、富津岬にある富津海岸からは富士山が見られるそうで、富士山と夕日のコラボという素晴らしい絶景を見ることができるそうです。
刑部(ぎょうぶ)岬(千葉県・九十九里の北端)
北は犬吠埼(いぬぼうさき)から南は房総半島(ぼうそうはんとう)全域までパノラマで見渡す夕日は圧巻!刑部岬の突端に建つ「飯岡刑部岬展望館?光と風?」からこの眺めを見ることができるそうです。
鳥取砂丘(鳥取県鳥取市)
言わずと知れた、日本最大級の砂丘である「鳥取砂丘」で見る夕日は、日本海に日が沈む夏がオススメだそうです。
夕日ヶ浦(ゆうひがうら)海岸 (京都府)
夏には岩場のシルエットを照らす夕日が、春や冬には、西側の山々に沈む夕日が堪能できるそうで、四季によって様々な夕日が楽しめるそうです。
白米千枚田(しろよねせんまいだ)(石川県輪島市)
日本海に面した田んぼが重なって海岸まで続く景色は日本の「棚田百選」、「国指定文化財名勝」に指定されている絶景です。夏には稲が緑色に輝き、秋には黄金色に輝く田んぼが夕陽に染まる景色は言葉にならない美しさでしょうね。
だるま夕日(高知県宿毛市)
冬の夕暮れ時、太平洋に沈む夕陽が蜃気楼のように揺らいで2つの円が重なるように溶けるシルエットがまるで「だるま」のように見えることからこのかわいらしい名前がついたそうで、よく晴れた、大気と海水の温度差が大きい日に、ほんの数秒だけ見ることができるのだとか。そのため「奇跡の夕日」と呼ばれているそうです。
桜井二見ヶ浦(さくらいふたみがうら) (福岡県)
縁結び、夫婦円満のシンボルである「夫婦岩」があり、2つの岩の真ん中に沈む夕日を見ることができるそうで、とても神秘的な気持ちになれそうですね。
さて、いかがでしたでしょうか。
エネルギッシュでパワーを与えてくれる朝日に対し、悲しくなったり、楽しくなったり、癒やされたり、時には涙が出たりと、様々な感情を呼び起こしれてくれる、夕日。
そんな夕日は、私達の感情を浄化して1日の疲れを癒やし、また新たな気持で明日へ向かうために、自然が私達に与えてくれた生きるためのエネルギーなのかもしれませんね。
「朝日を浴びると夜に快眠できる?うつも改善?免疫力もアップ!」