最近、CD屋さんや雑貨屋さんなどで、
「アルファ波」が出ると言われている音楽を集めた、
CDなどが発売されています。
「アルファ波」がリラックスと関係のある物質だというのは、
なんとなく分かるのですが、
具体的にはどのようなものなのでしょうか。
そこで、今回は知っているようでよく知らない、
「アルファ波」について、調べてみました!
アルファ波とは?
ベルガーが記録した息子の脳波
まず、「アルファ波」というのは脳波の一種で、ドイツの神経科学者であり、精神科医だった、
ハンス・ベルガーという人により発見されています。
ベルガーは、1924年、15歳だった息子の頭皮上から、健康な人間で初めて、
脳での電気現象を記録することに成功し、これを
「Electroenkephalogram(脳波)」と名付けて、1929年に発表。
ベルガーは、この時の実験で、2種類の脳波を発見し、
第1級の波(大きな波)を「アルファ波」、
第2級の波(小さな波)を「ベータ波」と名付けています。
「アルファ波」が、安静(リラックス)時、一つのことに集中している時、
閉眼時、覚醒時に、多く出現することも発見しているのですが、
どのように発生するのかは、いまだにわかっていません。
ちなみに、「アルファ波」はベルガーの功績にちなみ、
「ベルガー波」「ベルガーリズム」とも言われています。
脳波
また、「ベータ波」は脳が活動をしている時や、イライラしている時、
緊張感のある状態の時に多く出現するそうで、
ベルガーは、脳波の実験で、開眼時に「ベータ波」によって、
「アルファ波」が抑制されることも発見しています。
「脳波」には「アルファ波」と「ベータ波」の他に、
「ガンマ波」、「シータ波」、「デルタ波」があり、
「ガンマ波」はイライラしている状態、
「シータ波」は睡眠時、
「デルタ波」は完全に眠りに落ち、無意識の状態、
と、その時の精神状態が反映して出現するそうです。
(「ガンマ波」、「シータ波」、「デルタ波」は、
ベルガーではなく、後の科学者によって発見されています。)
「β-エンドルフィン」
それでは、脳波が「アルファ波」の状態になっていると、
具体的にどのようなことが起きるのかもう少し詳しく調べてみると・・・
「アルファ波」が増えると、それに比例して、
「β-エンドルフィン(ベータエンドルフィン)」というホルモンが、
脳内で増えることが確認されているようで、
(脳波が「アルファ波」の状態になると、脳内で「β-エンドルフィン」が分泌されるとも、
言われています。)
この「β-エンドルフィン」は「快楽物質」「脳内麻薬」と呼ばれるほど鎮痛効果が高く、
その鎮痛作用は、モルヒネの80倍なのだとか!
例えば、「ランナーズハイ」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、
これは、ランニング中に、苦しさを通り越して恍惚感や陶酔感を感じることで、
「β-エンドルフィン」の作用だと言われいます。
また、「β-エンドルフィン」には、鎮痛作用の他にも、
ストレスの軽減、脳の活性化、免疫力の強化も期待できるそうで、
リラックスすればするほど、私達の体に良いことばかりであることが分かりますね♪
アルファ波を出す方法は?
ところで、ハンス・ベルガーは、「アルファ波」を出現させるために、
被験者をどのような状態にして(どのようにリラックスさせて)脳波を観測したのか、
ちょっと気になったので調べてみたのですが、
残念ながらはっきりしたことはわかりませんでした。
そこで、私なりに考えてみると・・・
冒頭でも書きましたが、ベルガーは、まず、
「アルファ波」と「ベータ波」があることを発見すると、
次からは、「アルファ波」が多く出ていることを前提として実験をしていたようです。
被験者の脳が「アルファ波」が多く出ていることを観測すると、
次に、感覚(触覚)刺激や視覚刺激を与えたり、計算(暗算)をさせたり、
コカインを注射したり、クロロホルムの麻酔をしたりと、様々なことをして、
「アルファ波」が消滅し、「ベータ波」が現れることを確認しているので、
被験者はおそらく、目を閉じ、何にも邪魔されない状態で、
座っていたか、横になっていたのではないか、と思われます。
ただ、病院などのベッドで横になっても、なかなかリラックスできない私は、
自分が被験者になった場合、本当に「アルファ波」が出るのか?
と、ちょっと心配になったので、
「アルファ波」がたくさん出現する方法をいろいろ調べてみました!
・コーヒー(特にグァテマラとブルーマウンテン)の香りをかぐ
6種類のコーヒーの香りを被験者にかがせ、脳波の状態を調べるという実験で、
グァテマラとブルーマウンテンの香りをかいだ時に、
アルファ波がもっとも多く出現したそうです。
なぜ、グァテマラとブルーマウンテンの香りをかぐと、
「アルファ波」が多く出現するのか詳しいことはよく分かっていないそうですが、
コーヒータイムに、ぜひ、試してみたいですね♪
・緑茶を飲む
緑茶にはカフェインが多く含まれているのに、リラックス効果が得られるのはなぜ?
と思われるかもしれませんが、緑茶には「Lーテアニン」という物質も含まれており、
この「Lーテアニン」の働きによってカフェインの刺激が抑制され、
リラックス状態に導いていくれるのだそうです。
ちなみに、緑茶を飲んで30~40分後にその効果が現われるのだとか。
・お風呂に入る
お風呂に入って体が温まると血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれるのですが、
筋肉の緊張が緩むことで脳への刺激が減り、
深いリラックス効果を得ることができるのだそうです。
・自然の中を散歩する
近所に森林があれば良いですが、なかなかないと思いますので、
公園などをぶらっと散歩するだけでもリラックス効果があるそうです。
ただ、子どもが叫んでいたり、人が大勢いてワイワイ騒いでいる環境だと、
マイナス効果になってしまいますので、自然を感じられる場所を選ぶようにしてくださいね。
・目を閉じる
目で物を見るということは、形は?色は?距離は?など、
膨大な量の情報を分析していることから、
私達が思っている以上に、脳に刺激を与えているそうなので、
目を閉じ、それらの刺激を遮断してあげると、
「アルファ波」が現れるそうです。
・単純作業をする
手作業など、何も考えずにひたすら目の前のことをこなしていると、
心が落ち着いた、という経験をしたことはありませんか?
実は単純作業は、リズムを繰り返す作業の連続のため、
アルファ波が多く出現するそうです。
精神的に疲れてしまった時や、何もやる気が起きない時など、
まず、ウォーミングアップとして単純作業をすると、
心が落ち着きますし、また、達成感も感じられるので、
ぜひ、おすすめです♪
・自然の音を聞く
自然の音には、川のせせらぎ、鳥のさえずり、波の音、雨の音、
などがあり、それらには、私たちにリラックス効果をもたらしてくれる、
「1/fゆらぎ」という一定の周波数や振動が含まれています。
CDやYoutubeでも簡単に聴くことができるので、
ぜひ、活用してリラックスに役立てたいですね。
好きな音楽が癒やしに!
「自然の音」を聴くと、アルファ波がたくさん出ることがわかりましたが、
モーツァルトの音楽にも「1/fゆらぎ」がたくさん含まれていることから、
アルファ波がたくさん出るそうです。
私はモーツァルトの音楽を聴くと、眠たかった頭が冴えてしゃきっとし、
とても仕事がはかどります(^^)
ただ、モーツァルトに限らず、自分の好きな音楽を聴くのが一番良いようなので、
ヒーリング音楽だからといって好きではない音楽を、
無理矢理我慢して聴くのでは効果がないとのこと。
あくまで、自分が心地良いと、感じる音楽を聴くのが一番良いので、
もしお好きなら、メタルやハードロックでも効果があるそうです♪
注意点
ここで、「アルファ波」に関して、誤解されやすい点を上げると・・・
「アルファ波を発している音楽を聴くからリラックスする」
という解釈がありますが、これは正しくなく、
「リラックスしている状態だからアルファ波が出る」
というのが、正解です。
わかりやすい例で言うと、
モーツアルトの音楽が「アルファ波」を発しているからリラックスするのではなく、
モーツアルトの音楽を聴くとリラックスでき、その結果アルファ波がでる
ということなのです。
また、「アルファ波をコントロールする」という記述を、
ネット上で見かけますが、「アルファ波」はリラックスした結果、現れるものなので、
コントロールする必要はなく、リラックスすることが一番大事なのです。
さて、いかがでしたでしょうか。
私達を健康に導いてくれる「アルファ波」。
「アルファ波」を多く出現させることは、難しいことではなく、
自然の中や、ちょっとした行動など、とても身近なところにあったのですね!
とはいえ、忙しい毎日の中、つい、おざなりになりがちなので、
今回調べたことを参考に、自分なりのリラックス法を見つけ、
ぜひ、健康に役立てたいと思います♪